世界最古のカップ戦、FAカップの5回戦。 ストークと対戦したブライトンは、三笘薫がアシストしたゴールを守り切りベスト8進出を決めた。 絶賛の声が届く中にも、現地メディアの中には”最低評価”を下すところも…。 三笘薫のプレイを、現地の声とともに振り返ります。
三笘はん、アンビリーバブルやーー!
FAカップの5回戦、ブライトンは三笘のアシストからのゴールを守り切ってベスト8入りを決めたね!
チャンピオンシップのクラブが相手だったとはいえ、直近の試合に比べると活躍していました!
ストーク・シティは現在2部で17位と低迷しているが、
プレミアリーグ経験のある手強い相手だよ。
FAカップは、イングランドの全ディヴィジョンのチームが参加する世界最古のカップ戦。
下部カテゴリーのチームがプレミアのチームを倒すジャイアントキリングが期待されますよね。
それが醍醐味の一つと言ってもいい大会だね。
聖地ウェンブリーでのプレイを夢見て戦う選手はもちろん、
上位クラブと戦う地域クラブは、多額のチケット収入が見込めるから、クラブ運営にとっても大事な大会なんだ。
ジャイアントキリングを起こせば起こすほどクラブが盛り上がる、夢のある大会ですね。
ストークも例外ではない。
しばらくプレミアから遠ざかっているため、上位を狙う補強費を集めたいだろうし、
プレミアのクラブを倒すことで今後のリーグ戦のモチベーションにも繋がるからね。
この試合のストークは、序盤からかなり気合の入ったプレイが観られましたね。
前線からのプレッシャーが激しく、オールコートマンツーマンに近い形でかなりタイトなディフェンスをしてたね。
ブライトンのビルドアップの時、両ボランチはもちろん、
センターバックにもプレッシャーを掛けていましたよね。
試合序盤は、ファン・ヘッケとダンクのパスミスも少し目立っていた印象だったよ。
この日の三笘はどんな印象でしたか?
この試合では、サイドよりも中央でプレイする機会の方が多かった印象だよ。
ブライトンの左サイドバックは、エストゥピニャンではなくランプティ。
ランプティはサイドでのアップダウンが特徴なので、
三笘は大外のレーンを空ける意味でも、中央でのプレイが多かったね。
6分の場面は、まさにその通りの形でしたね。
ダンクの楔のパスも良かったし、上がってきたランプティをシンプルに使った場面だったね。
デ・ゼルビ監督は三笘に対して、10得点以上と中央の選手との連携を以前から要求していたので、
FAカップとはいえ格下との対戦で、あえて中央でのプレイ機会を多くする戦術を取った可能性もあるね。
ダンクからのロングパスと、マクアリスタを絡ませた連携は、この試合で多く観られたんじゃないですか?
そうだね。
24分の場面では、ボールを持つマクアリスタに三笘が寄っていったところで、
大外のランプティが裏に走るという場面があったよ。
1本目ではパスが出ず、立て続けに3人の連係があったものの、決定機を作るまでには至らなかった。
でも、3人の連係を含めてブライトンの攻撃の中心は左サイドでしたね。
右サイドは若手のサルミエントとブオナノッテだっけど、
試合経験が少ないので細かい連携や駆け引きの部分はあまり上手くいってなかったね。
ストークのハイプレスをかわしても、右サイドの両選手はボールに寄ってプレイしてしまっていたので、
背後のスペースを効率よく使えずに決定機もさほど作ることができなかったね。
なるほど。やはり細かい動きはマーチ先輩の足元にも及ばないわけですね。
裏抜けのタイミング、ビルドアップを助けに行くタイミング、ポジションのユーティリティ性…
どれを取っても、現状はマーチの方が数段上だね。
エストゥピニャン、マーチは週末に備えてベンチ外のようでしたし、
若手の出場機会のためにも、カップ戦は有効に使わないといけません。
そして29分、三笘のアシストでブライトンが先制しますね!
ダンクのロングパスから丁寧に中央に折り返したね。
このシーンの前から、21分、23分とセンターバックから三笘へのロングボールは入っていたよ。
ランプティが裏に抜けたり、三笘が裏に抜けたり、ストークは的を絞りづらそうですね。
どちらの選手も、縦突破からのクロスは要警戒だからね。
どっちも警戒しながら対応をしていると、それだけで疲労に繋がるよ。
29分の得点の場面では、まず右サイドでディフェンスラインを押し込んだ後の展開だったね。
ダンクにボールが入ってから縦パスが出るまで早かったですね。
サイドバックとセンターバックの間に門が完全に開いてしまっていたので、そこをダンクも見逃さなかったね。
この現象は、ストークのマンマークが災いしてしまった。
人につくマンマークを採用していたので、右サイドにブライトンの選手がいると、ストークの選手も右に寄ってしまう。
この場面も、全体的に右寄りになっていて、ブオナノッテとファーガソンが中央右寄りのポジションになっている。
センターバックは当然、この二人をマークするから三笘とセンターバックの間に距離ができる。
ゾーンで守る場合は、このハーフレーンと呼ばれるところに人を配置することが多いですもんね。
その通り。右サイドバックのスターリングはもう少し内側に立っているのがベスト。
だけど、チームの戦術としてマンツーマンで守っているので、このような隙間ができるんだ。
映像で冷静に見ると納得ですが、これをピッチレベルで判断している選手たちはやはりすごいですね。
さらに、パスを受けた三笘はシュートではなくてパスを選択したのも冷静な判断だったね。
私は観ていて、「シュートだ!」と思ってましたよ。
実況を担当していた下田さんも、シュートコースを想定して言葉を準備していたみたい。
この視野の広さは、解説を務めていた川勝良一さんも、
「どうしてもサイドからの切り崩しが三笘の代名詞になってるけれど、」
「実際、右のアウトから出すラストパスなんかも含めてのパスセンスや、見えている範囲というのは相当広いと思う。」
と、賞賛の言葉を並べていたよ。
数字に表れにくいゲームメイクの部分でも、三笘の貢献度は高いですよね。
得点の後も、攻撃の起点は三笘だったね。
後半に入って、52分にキーパーのロングボールから裏に抜けていたし、
53分は三笘起点で、ランプティにワンタッチで繋いで決定機を演出できていたね。
55分にストークのプレスを剥がした場面は、敵陣で5対2の状況を作れていただけに、
点に繋げられなかった三笘のパスはもったいなかった…。
左に人は余ってたので惜しかったですね。
58分に見せた、ブライトンの長短のパスを混ぜたビルドアップもとても綺麗でしたよね。
まさにブライトンの攻撃だし、デ・ゼルビ監督が作ってきたチームだね。得点を決める人だけがいなかった感じかな。
この試合の三笘に対して、試合後のデ・ゼルビ監督は、
「あのゴールにはとても満足している。ファンタスティックなアクションで、ダンクのパスは素晴らしかった。」
「三笘の適切なタイミングで適切なポジションに入るためにとてもスマートだった。
「我々にとってとても重要なゴールだった」
と賛辞を送っているよ。
もう監督からの信頼はばっちりじゃないですか。
現地のメディアはどう評価したんでしょう?
英公共放送『BBC』は、
「ブライトンの見事なゴールだ」
「ボールはダンクが後方から出した。ミトマがゴールキーパーを無力化する完璧なパスをし、」
「ファーガソンはそれをネットに突き刺すといういつもの仕事をこなした。」
と、これまたべた褒め。
ロンドン地元紙「イズリントン・ガゼット」のアーセナルの番記者は、
「ストーク戦でのブライトンのゴールはフットボール・アートであり、組み立てがとても好きだ。
「ルイス・ダンクからカオル・ミトマへの素早いワンタッチパスは抜群であり、」
「そしてミトマはとにかく献身的かつ、よく見ており、これを見逃すことがなかったエヴァン・ファーガソンに繋いだ。」
と綴っているよ。
リーグ戦の時とは打って変わって、高評価の嵐じゃないですか。
結果がすべてのアスリートの世界だし、紙面の見出しが欲しい彼らにとって、三笘は何をしても話題になるんだよ。
ただ、ブライトンの地元紙では評価が分かれているようで、
『Sussex Live』は三笘をチーム2位タイの「7」と採点し、
「この日本代表は、直近で最高のパフォーマンスだったとは言い難いだろう。」
「だが彼のインテリジェンスがゴールに繋がり、背後に走り込んでエヴァン・ファーガソンの先制点をアシストした。」
「後半に交代となったが、おそらくウェストハム戦のために温存された」
と評価された一方で、『Sussuex World』は、先発した選手の中でチーム最低タイとなる「5」と評価し、
「ゴールをアシストしたものの、なかなかゲームに参加できず。」
「試合開始から1時間と少しが経過したところでベンチへ下がった。」
と、ゴールシーン以外での貢献が少なかったと指摘しているよ。
地元紙は、三笘への期待度が高い分、「もっとできるでしょ!」と書きたくなるのでしょうかね。
少し厳しい見方なのかもしれないけど、「1アシストくらいで一喜一憂しないよ」という落ち着きすら感じるかな。
そういう意味では、ブライトンの地元紙が一番冷静かもね。
「勝って兜の緒を締めよ」とはまさにこのことですね。
お、霊夢。なかなか良いことを言うね。
我々ももう大人ですから!
大人らしい、慎ましい言葉を使っていこうじゃないですか。
いつまでも若ぶっていられないもんね。
ところで、そういう霊夢は今年でいくつになるんですか?
え…。
えっと…。それは…。
永遠の18歳だよ♡
…。
前言を撤回してもらえますか?霊夢さん。
はい。すいませんでした…。