U-20世代のアジアカップの第2戦、日本代表はキルギスに勝利し、次のサウジアラビア戦は勝つか引き分けで決勝トーナメント進出が決まる。本大会では日本は1度しか優勝したことないが、優勝以上に得たい経験とは!?試合結果などについてゆっくり解説。
ウズベキスタンで開催されているU-20のアジアカップが始まっているけど、
第1戦、日本は中国に逆転勝利して辛うじてだけど白星発進できたね。
いやあ…。正直焦りましたよ。
そうだよね。簡単に振り返ると、
立ち上がりからアバウトなボールを入れて攻め上がってくる中国のスピードの前に受け身になってしまい、
コーナーキックからオウンゴールによりまさかの失点。
オウンゴールはしょうがないけど、早速失点してしまいましたね。
その後は、日本がテクニックを生かして攻撃を続ける展開になり、何度も決定機を迎えたけど、
5-4-1で分厚い守備網を敷いた中国の守備陣を崩せずそのまま後半へ。
あまりにも典型的なアジアの戦いですね。
一歩間違えていたら、これまで何度も日本が涙をのんだ負けパターンに入っていたかもしれませんね。
紙一重だったね。後半もちょっと怪しい展開になりかけたいたけど、
途中から投入された熊田直紀がヘディングに合わせてまずは同点。
その4分後に再び熊田が勝ち越し。
これがチームを救う決勝点となりましたね。
富樫剛一監督も、
「初戦の難しさがある中で最初のリスタートから失点することでもっと難しくなってしまいました。」
「しかし、選手たちは失点後の84分をしっかりとデザインしながら粘り強くチャンスを作り、」
「熊田選手の2ゴールへ繋げてくれた。本当に大きな勝点3となりました」
と、安堵したようなコメントをしていたね。
こちらとしても一安心ですよ。
得点を決めた熊田も、
「今回は途中からだったというのもあるし、チームの信頼を得てスタメンで出て、結果を出し続けていきたいです。」
と、コメントしていたよ。また、海外の記者が熊田に対して
「あの18番、すごいな!」
というような言葉をかけたそうなんだ。
お!早速世界から注目されたんですね!
中国戦での活躍もありイングランド国内でも高評価を得ているようで、
リバプールの専門サイト『Liverpool.com』のベンス記者は試合後に
「熊田直紀は現時点で最も興味深い日本人タレントのひとりだ。」
「彼は昨季、U18FC東京で19試合中19ゴールである。昨年11月のU20日本代表では、」
「スロバキア戦、フランス戦でゴールを決め、U20アジアカップでも2得点を挙げた。」
「強力なフィジカル能力を兼ね備えたFWであり、ディフェンダーに多くの問題を引き起こす。」
「優れたフィニッシャーである。空中戦に強くてボールキープに長けているだけでなく」
「スピードも速く、テクニックも優れている」
と、ツイートしていたんだ。
まさかのリヴァプール関係者ですか!今後も注目です!
次の第2戦はどこと試合をするのですか?
キルギスだよ。
あまり印象がないですね…。
そうだね。第1戦ではサウジアラビアと対戦して0-1と惜敗。
ちょっと不運に思える判定のPKによる一発を浴びた以外はサウジアラビアの攻勢に耐え切っており、
守備が固いという印象があるね。
また嫌な相手ですね。
ちなみに前日練習で少し珍しいことがあったんだ。
なんですか?
前日練習を行っていた日本の隣のグラウンドではキルギスが同時刻に練習していたそうなんだ。
そんなことあるんですか笑初めて聞きましたよ!
キルギスのスタッフも怒っていたらしい。
そりゃそうですよ!
お互い対策ができない前日練習なんて、もはやコンディション調整の場でしかないですね。
まあそれも大事ですけど。
それじゃあキルギス戦を振り返るよ。
先発メンバーには初戦でチームの全2得点を記録した熊田とその両方をお膳立てした佐野航大を揃って起用。
その他、FC東京の松木玖生やバルセロナの下部組織に所属する髙橋仁胡らがスタートからピッチに立った。
立ち上がりからキルギスの出足の鋭い守備に苦しめられる日本。
北野颯太のドリブル突破や熊田の積極的なシュートでゴールを目指すものの決定機には至らず、0-0で前半終了。
中国戦と同じ匂いがしていて少し心配になりましたよ。
後半はさらに攻勢を強めていくもののキルギスのカウンターも警戒しながらの膠着状態が続いたね。
すると71分、北野のスルーパスに走り込んだ松木がキルギスGKと交錯して転倒。
PKの笛が鳴り、キッカーの佐野がテクニカルな助走から先制点を奪取した。
やっと先制点が入りました!
75分、ボックス手前中央でルーズになったボールに対して熊田が左足の豪快なシュートで追加点。
目の覚めるような一撃でリードを広げたね。
2試合連続ゴールです!
85分に右CKから高橋が左足で蹴り込んだボールをニアの松木が頭でフリック。
ファーで待ち構えていた途中出場の坂本一彩が左足でネットを揺らして3点目。これで試合終了となった。
終わってみれば3-0でしたが、キルギスはやはり守備が固かったですね。
それを崩して3点も取れたことはプラスととらえていいよね。
そして、その後に行われたサウジアラビアと中国の試合はなんと中国が2-0で勝利したんだ。
えー!サウジアラビアは中国より弱いんですか?
いや、そんなことはないけど、こういうことが起きるのがサッカーだね。
というわけでまだ決勝トーナメント進出は決まっていない。
次の試合で勝つか引き分けで進出は決まるけど、負けて得失点差も絡むと敗退も考えられるんだ。
なるほど。中2日の試合が続くからターンオーバーしたかったですけど、
サウジアラビア戦で一気にスタメンをターンオーバーすることは難しそうですね。
そうだね。中国戦、キルギス戦とも「アジアの戦い」の怖さを痛感したんじゃないかな?
いわゆる格下ですが、難しい試合でしたもんね。
1959年から始まった今大会は41回目という長い歴史がある大会だけど、
日本は第1回大会から出場している中、優勝は2016年の1回だけなんだ。
え!そうなんですか?
ちなみに東アジアのライバルである韓国は13回の優勝している。
昔は20歳以下という大会であるにも関わらず、日本は高校選抜チームを派遣していたという事情はあるけど、
Jリーグが発足して、代表チームがワールドカップに連続出場し始めたいわゆる日本が強くなった時代においても
優勝はできていないんだよね。
でも言われてみればアンダー世代の優勝ってあまり見たことがないかもです。
でも、日本のサッカーがプロ化されるずっと前から、アジアユース大会は日本にとって非常に重要な大会だと思う。
当時は代表チーム以外のチームが国際試合を経験する場がほとんどなかった時代に、
高校選抜やU-20代表の若い選手たちが、アジア各国の若手と真剣勝負をするこの大会は
日本の若手育成のために非常に重要な役割を果たしていたというわけなんだ。
この世代の日本代表にとってヨーロッパなどの強豪国と真剣勝負をするには、
ワールドカップに出場する以外にないからですか?
その通り!今年の大会でもU-20ワールドカップの出場権獲得こそが最大の目標だね。
経験というのは大事ですもんね。
優勝ももちろんしたいけど経験のほうがはるかに大事だと思う。
特に、現在のU-20世代の選手たちは、コロナ禍の影響で2021年のU-17のワールドカップが中止となっている。
この世代の日本代表は、アジア予選で苦しい試合を経験し、
そして、U-17やU-20のワールドカップやU-23代表が出場するオリンピックで、
世界の同年代の選手と戦うことで大きく成長できる。
だから、U-17ワールドカップを経験できなかっただけに、今回はぜひとも経験しておく必要がある。
この世代は、世界を経験できていないからなおさらU-20ワールドカップ出場が重要ですね。
ただ、中国戦、キルギス戦でも経験したように、U-20ワールドカップの出場権獲得は簡単なことではない。
基本的にはアジアの大会でベスト4以上になればこの大会の出場権が与えられるけど、
ベスト4に入るには、予選リーグを突破して一発勝負で行われる準々決勝で勝利する必要がある。
一発勝負だと、何が起こるかわからない。例えば、2014年のU-19アジア選手権で日本と北朝鮮の試合では、
日本はグループリーグで韓国に勝利した調子の良さを見せており、また、この試合もコントロールしてはいたが、
北朝鮮のGKの大活躍もあって1-1の引き分けとなり、そのままPK戦で敗退してしまった。
そうだったんですね。
だからワールドカップ出場のために、次のサウジアラビア戦はとても大事なんだ。
前も少し紹介したけど、日本はこのアジアカップの予選は無敗の22得点、失点0で通過したけど、
このアジアカップではポッド1ってわけじゃないんだ。
開催国のウズベキスタン、カタール、サウジアラビア、韓国がポッド1で日本はポッド2。
そう考えると日本の予選リーグは結構強豪国が集まっているんですね。
2位で通過すると、おそらく韓国と対戦することになる。これは避けたいね。
だから、次のサウジアラビア戦は絶対に勝利して1位でグループリーグを突破したいんだ。
1位で突破すれば、2位で通過した相手が準々決勝の相手になるからですね!
決勝トーナメントでは1回勝てばベスト4に入ることができ、U-20ワールドカップの出場権が手に入る。
これは必ず成し遂げてほしいね。
次のサウジアラビア戦も全力で応援しましょう!