32か国から48か国へ!参加国増に伴うグループステージ、決勝Tのフォーマットが確定! 最大7試合から最大8試合、合計64試合から108試合と大幅に増えた試合数の増加はどのようなデメリットがあるのか? 選手への負担増、そして地理的な問題。過渡期の2026年W杯で起こりえるデメリットについてゆっくり解説
いよいよ4年後に向かっての初陣である親善試合ももう間もなく行われるね。
2026年の北中米共催W杯こそベスト8を達成して欲しいですね!
その20226年大会のフォーマットが決定したって事はご存知?
フォーマット?うーん、参加国が増えた事で何か変わるって事ですよね。
そうだね、参加国が32か国から過去最多の48か国に拡大したわけで、
1998年から続いた32か国でのフォーマットの変更を余儀なくされた。
32か国は4か国で1グループ、これが8個で上位2か国が次のステージへ。
ベスト16を決めるのにはこれ以上ないフォーマットだっただけに、どうなるか注目されてたんだけど、
例えばどういった案がでていたんですか?
当初は48か国を3か国ごと、16グループに分けてグループを戦い、
その首位の国が勝ち抜け、そのままノックアウトステージに移行という案が有力だった。
それは分かりやすくて良さそうですけど。
ただ3か国でシミュレーションをすればすぐにわかる事なんだけど、試合消化にばらつきが出る。
確かに。今の形、最終節でグループのすべての国が同時刻に最終戦を行うのが最も公平ですし…。
そしてカタールW杯ではグループが史上最も混戦だったグループだと言っても過言ではなく、大いに盛り上がった。
そういう経緯もあってカタールW杯終了後にFIFAの方でもグループステージの形を再検討するという動きが出てきたんだよね。
カタールの結果とか関係なくちょっと考えれば色んな問題が噴出するのは目に見えてますけどね。
そういった経緯もあって、再検討した結果、48か国が参加するグループリーグは4か国で1つ、12組で行う形をとり、
その次のステージはベスト16からベスト32に変更する形で決定したんだ。
ベスト32というと、今までの参加国と同じ数ですね…。つまり最終予選が2回あるような形かな?
そうとらえても良いかもしれない。最終予選プラスプレーオフって感じかな。もう少し詳細まで説明すると、
グループステージは今まで同様、3試合ずつを戦う。その結果によって次のステージに進出する国を決める。
ただし、過去のフォーマットだと16か国だから上位2か国。ここが変更となる。
まず上位2か国は今まで通り、無条件で勝ち抜け。残す8か国をどうやって決めるかというと、
各組3位の成績上位8か国、勝ち点や得失点差、得点で優劣をつける形になるんじゃないかな。
うーん、ちょっと複雑ですね…。
この4か国で戦うグループのうち3位になった国の中で成績上位の国を次のステージに進出させるやり方。
これは前々から行われたやり方でもあるんだよね。1994年のアメリカ大会。
この大会までは参加国は24か国だった。今と同じ4か国で1グループ。つまり6つの組に分かれてグループを戦い、
上位2か国が次のステージへ。そしてグループ3位のうち上位4か国もベスト16に進む形だったんだ。
なるほど、じゃあそこまで違和感なく受け入れられる可能性もありますね。
このフォーマットはメリットとデメリット、両方があるんだけど1つずつ説明するね。
まずメリットとしては公平性が保たれるという事。3か国よりも4か国の方が圧倒的に公平だからね。
最終節の結果で次のステージに進出できるかどうかなのに、国によって開始時刻が異なるのはもっての外ですね。
過去にそういった形を取り、談合や八百長疑惑が生まれた黒歴史もある。
次にFIFAが強調するのは、
「全てのチームが最低3試合以上をプレーすることを保証し、チーム間でバランスの取れた休息時間を提供できる」
という点。3か国のグループだと最初のグループで敗退した国は2試合しか行えないよね。
せっかく出場を決めて準備を綿密に行ってるのに、2試合はちょっと寂しいですよねぇ…。
こうやって話を聞いているとなぜ最初が3か国だったのか、その理由が全く分かりません笑
このFIFAが強調する、最低試合数。これこそが3か国案が最初に候補としてあがっていた理由であり、
さらにこのフォーマットの最大のデメリットでもあるんだよ。
なんか難しい話になってきましたね…。
まず優勝するための最大試合数を考えてみよう。カタールW杯で優勝したアルゼンチン。
グループで3試合を戦い、ベスト16、ベスト8、ベスト4、決勝。合計7試合だね。
ですね。
準優勝のフランス、3位決定戦を戦ったクロアチア、モロッコ。これらの国も7試合を戦った。
3か国案の場合は、グループステージが3試合から2試合に減少し、その代わりベスト32からノックアウトステージが始まる。
つまり、グループステージが1試合減る代わりにノックアウトステージが1試合増えて、最大試合数は変わらずですね。
それが今回決定したフォーマットだとグループで3試合行い、さらに決勝トーナメントが最大5試合に。
優勝する国は最大で8試合を勝ち抜いていく必要がありますね。
この試合数の増加、これこそが最大のデメリットなんだよね。
今聞いた感じだと試合数が増えるってたくさん試合がみれる!ってシンプルに嬉しいなぁと思ってしまったんですが…。
試合数が増えるというのは開催期間を延ばす必要があるという事。
日程の変更によって及ぼされる悪影響はまず選手のコンディションだね。
今回の発表に伴って、決勝戦の日程も発表されている。2026年7月19日に行われることが決定。
しかし開幕日はいまだ未定。しかしその年に行われる各国のリーグ戦はすべて5月24日までに終了するように通達されている。
そして翌日の5月25日からはW杯に向けた準備をするようにあわせて通達。
このリーグが終わってから、決勝戦の開催日までの期間は56日間となるんだけど、2010年、14年、18年大会と同じ日数。
にもかかわらず、試合数は従来の64試合から104試合に増加する事になる。
倍増に近い試合数ですね…。
この試合数の増加が日程面への影響をどのように与えるか考えた場合、
開幕を早めるパターン。もしくは試合と試合の間隔を縮めるパターン。
そのいずれかでしか、この問題は解決できないと思うんだよね。
ですね…。選手にとっては過密日程に拍車がかかる形ですね。
さらに次回の2026年大会は3か国共催。過去に共催と言えば日韓W杯があり、
欧州選手権は立地的な近さから共催は珍しくない。2020年大会は11か国で分散開催されたしね。
欧州全域で行われてて、もはやホームがどこなのかわかりませんでしたね笑
日韓にしてもユーロの共催にしても距離の差というのはそこまで大きくなかったんだけど、
2026年大会の開催国はアメリカ、カナダ、メキシコの3か国。開催予定地同士で最も離れてる開催場所をみると、
カナダのバンクーバーとアメリカのマイアミ。この2都市を隔てるその距離は約4500km。
4500km…。もうでかすぎて実感がないです…。
東京から4500km離れたところでいうと大体東南アジアだね。カンボジアやタイ。
ユーラシア大陸なら中国を飛び越えてミャンマーあたりかな。
さらにバンクーバーとマイアミでは気候もかなり異なるという問題もある。
もちろん運営がそういった影響がなるべくないように取りまとめるとは思うけど、この開催の範囲の大きさも選手には悪影響。
ですね…。過密日程確定な上に移動にも消耗させられるのか…。
実際、1994年のアメリカ大会でも西海岸は過ごしやすく、 東海岸は蒸し暑いなどの差があったし、
さらに時差の関係でヨーロッパのゴールデンアワーに試合を組んだ結果、炎天下で試合を行い選手の体力を消耗した。
各国のリーグ終了日と決勝戦が固定され、その間の期間に開催される試合数は増え、地理的な問題も無視できない。
これらを考えると選手への負担は間違いなく大きくなる。試合数の増加に伴うデメリットはこれが一番だね。
なぜ参加国を増やしてしまったのか…。
FIFAが出場国を増やすメリットとしてコメントしていたのは、
「W杯に参加する国や地域が増え、サッカーを世界中に発展させるもので、これによりW杯は社会的なイベントになる」
とコメントしているけど、本音は利益だろうね。参加する国や地域が増えれば放映権料をはじめとする収益も増える。
FIFAにとってはW杯はそのあとの4年間活動するための大事なイベント。きっちりここで集金したいってのが本音。
さらにいうとカタールW杯には中東各国をサッカービジネスに本格的に巻き込むという狙いもあっただろうし、
参加国を拡大すればW杯に長らく出場できていない中国にも出場の目がでてくる。
そうすれば、中国企業がW杯にこれまで以上にスポンサーになってくれるというわけですね…。
その通り。お金がなければ大きなイベントもできないし、拝金主義が悪いとまでは言わないけど、
参加国の拡大によって起こるのは選手への負担がますます増える事。
それと大会のレベルが下がってしまい、相対的に大会の価値が下がるかもしれない事。
うーん、なかなか難しい…。
今回のフォーマットの決定はさまざまなメリットとデメリットを天秤にかけて決められたもので、
そこの経緯については尊重すべきだけど明かなデメリットが残る事になった。
そこについては最大限のケアを望むとともに選手たちのサッカー人生を狂わせないものになる事を祈るばかりだね…。
W杯の試合数が増える!やった!!と浮かれてた自分が恥ずかしい…。FIFAにはしっかりして欲しいですね。